国内最高峰の自動車レース 『SUPER GT』とは
SUPER GTの魅力
今日、SUPER GTとして絶大な人気を誇るレースシリーズは1994年、全日本GT選手権という名称でスタートしました。国内自動車メーカーの本格参戦もあって、人気は徐々に高まっていき、現在では日本のみならず、アジア、ひいては世界を魅了する国際的なレースシリーズへと変貌を遂げました。
2つのクラスが混走
その特徴としては、トヨタ、ホンダ、日産といった日本を代表する自動車メーカーが自社の高性能スポーツカーをベースに開発した500馬力を超えるマシンが参戦するGT500クラスと、国内外の自動車メーカー8社の車両をベースにした12車種のレーシングカーが参戦するGT300クラスという2つのクラスが混走しながら約300kmのレースを競う、日本独自のレースフォーマットが挙げられます。GT500、GT300の参加チームは、それぞれのクラスのシリーズチャンピオンを目指して、年間全8戦のレースを戦うことになります。
速さの異なる2つのクラスのマシンが同時にレースを行う所は、SUPER GTの非常にユニークな点です。決勝レースにおいて、42台ものマシンが同時に走るその光景は壮観の一語に尽きます。その中を走り抜けるGTマシンは迫力だけでなく、 混走ならではのアクシデントやドラマが起こりやすく、レース展開もそれにより、大きく左右されます。
様々な車両の競い合い
そのマシンに焦点を当てると、GT500クラスで使用されるのは、トヨタ GRスープラ、ホンダ NSX、ニッサン Z といった、日本を代表するスポーツカーです。それらをベースにメーカー各社の威信をかけて開発されたマシンが各チームに供給されています。
搭載されているのはNRE(Nippon Race Engine)と呼ばれる、排気量2L、直列4気筒、過給器付きガソリン直噴のレース専用エンジンで、環境面と出力面の両立を達成しています。(F1同様に使用できる燃料量に制限を設けることで、環境対応技術の開発促進という側面も併せ持っています。)
ボッシュはGT500クラスにエンジン制御を司るECU(エンジン コントロール ユニット)やインジェクター、センサーなどの共通部品の供給を通じ、上記の達成に貢献しています。
GT300クラスは国際規格に基づき、各自動車メーカーによって開発・販売されている『FIA-GT3マシン』、レーシングチームが市販車を改造して制作した『JAF-GTマシン』、SUPER GTをプロモートしているGTアソシエイションが販売する共通エンジン、共通パーツを使用してチームが開発した『マザーシャシー』の3つの規定の車両が参戦しています。
普段、街中を走っている身近なクルマが競い合う姿は、 紛れもなくSUPER GTの醍醐味のひとつと言えるでしょう。
1台に2人のドライバー
SUPER GTでは1台のマシンを複数(基本的には2人)のドライバーが交代して予選、決勝を走るという所も見どころのひとつと言えます。42台のマシンに毎戦84名以上のドライバーが参戦することになり、その中には国内外を代表する数多くの有名ドライバーも含まれています。
レースを盛り上げる様々な工夫
ここまでいくつかの特徴や見どころを挙げてきましたが、それ以外にもSUPER GTにはレースを盛上げる様々な工夫が盛り込まれています。
まず挙げられるのは世界的に見ても珍しい、タイヤ開発競争です。GT500、GT300の両クラスには国内外のタイヤメーカー合わせて計4社がタイヤを供給しており、レースを通じたタイヤの技術開発が行われています。
レースの開催時期や、サーキットの特徴に合わせて用意されるタイヤは、レース車両開発の一端を担っています。この開発を通じて培われた技術が市販のタイヤに反映されることも少なくありません。
次に挙げられるのは『ウエイトハンディ制』です。これは特定の車両の独走を防ぎ、各ラウンド、エキサイティングなレースが行われる事を目的に、レース結果に応じたウェイトの搭載を義務付けるものです。
これにより、毎年白熱したチャンピオン争いが展開され、その多くは最終戦までもつれ込んでいる事からも、導入が成功している事がわかります。
GT500とGT300の混走、複数のタイヤメーカーによるタイヤ開発競争、そしてウエイトハンディ制により、毎戦予想のつかないレース展開と、数々の名勝負が生まれているSUPER GTは日本発の『世界最高のハコ車レース』として、他に類を見ない
魅力に溢れたレースシリーズとなっています。