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日本のボッシュ・グループ

2輪用ABS生産をリードする──世界の生産拠点を統括する栃木工場、若手3人の挑戦

#働き方 #ミッション #やりがい

ボッシュの栃木工場は、2輪用ABSユニットの分野で世界の製造拠点を統括する、リード・マニュファクチャリング・ファンクション(LMF)という役割を担っています。グローバルでの重要な役割を意識しながら、それぞれの職場で業務を遂行する若手3人が、これまでの挑戦や思い描く未来像を語ります。

中井 岳俊

中井 岳俊

  • 2019年4月入社。生産技術部に配属後、テスターエンジニアとして、2輪用ABSのテスト工程の開発やチャカン(インド)の2輪用ABS用テスト工程のサポート業務などに従事。
土屋 みなみ

土屋 みなみ

  • 2019年4月入社。品質保証部にて2輪用ABSユニットの顧客資料の整理や品質調査、解析や報告等の業務に従事。
千葉 和樹

千葉 和樹

  • 2017年4月入社。次期自転車用ABSの顧客技術窓口と設計担当を兼任。構想段階からの顧客要求の取り込みと技術検討、サプライヤとの協議、サンプルのコーディネート等を担当している。

決して諦めない強い意志を持ち、1年越しの難題を改善

入社3年目、2輪用ABSのテスターエンジニアを担う中井
▲入社3年目、2輪用ABSのテスターエンジニアを担う中井

ボッシュの栃木工場は、1990年の竣工当時から現在に至るまで、主に自動車(4輪)やバイク(2輪)のアンチロックブレーキシステム(ABS)を生産してきた歴史ある工場です。2016年からは、リード・マニュファクチャリング・ファンクション(LMF)というグローバルでの役割も担っています。

LMFとは、ボッシュの生産現場において、いち工場としての機能だけではなく、世界にあるすべての生産拠点を統括・サポートする役割を持つ工場のことです。2輪では栃木工場がこの役割を担っています。栃木工場では2輪の生産にかかわるすべてのメンバーが、通常業務に加えてLMFを意識して活動しており、ボッシュの2輪の生産拠点であるインドのチャカン工場、2022年に立ち上がるタイのアマタ工場をリードしています。

現在、2輪用ABSの生産ラインで、製品試験を行うテスター工程の開発に従事する中井 岳俊は栃木工場で活躍するエンジニアの一人です。ボッシュのもつグローバルな社風やダイバーシティを掲げる先進性に魅力を感じ入社を決めたという中井。インダストリー4.0を推進する栃木工場で最先端の工程改良に携わりたいと、同工場への配属を希望しました。

中井 「2019年の入社以来、テスター工程の開発を担当しています。私が入社したときはLMFになって既に3年が経っていましたので、当初からその役割は意識していました。印象に残っているのは、インドのチャカン工場とのやり取りです。

テスト工程には、何千分の一という数値を測定する繊細なものがあります。こうした工程では少しの誤差でエラーが出るため、一度NGが出ても何度かテストをやり直す仕組みを採用しています。当時のチャカン工場ではその工程の対応に大幅な時間がかかっていました」

栃木工場ではそれまでこうした不具合は起きていなかったため、グローバルに向けた対策のプロジェクトチームが発足。中井もそれに参加し原因究明に乗り出しました。

中井 「栃木工場で改善内容を考察して計画を立て、それをチャカン工場に指示し、トライアル。そのフィードバックを栃木工場が受けて、さらに改善策を提示するという流れで対策を詰めていきました。現地との気温差まで考慮するなど考えられる条件をしらみつぶしにテストし、何度もトライアンドエラーを繰り返しました。

ほぼ1年がかりでようやく改善できたのですが、現地任せにせず、こちらがリードして解決策を示すことが重要だと改めて認識した出来事でした」

解決に至るまでには、インド側の担当者と根気よくコミュニケーション取っていたと語る中井。諦めずにやり遂げる姿勢に、LMFとしての役割を果たすという強い意思が感じられます。

各工場、各工程のエキスパートを束ね、品質の向上に貢献する

品質保証部の入社3年目の土屋
▲品質保証部の入社3年目の土屋

LMFの活動は、製造工程だけではありません。品質保証の分野でこの役割を担っているのが入社3年目の土屋 みなみです。

機械工学の出身で、自身も自動車やバイクに興味があったことからボッシュを志望した土屋。採用面接では大いに盛り上がり、社風に惹かれて入社したと言います。品質保証の仕事についても自身の希望が通り、入社後すぐ栃木工場に配属されました。

土屋 「入社してからずっと2輪の品質保証に携わってきました。現在は、アジアのバイクメーカーを中心にヨーロッパやオセアニアのメーカーなども担当しています。品質保証は製品のチェックなど限られた業務だけのように思われがちですが、製品を新しくつくる段階から、お客さまへの提供、さらにお客さまに届いてからの対応まですべての工程に関わるので、幅が広いです」

さまざまなメーカーはもちろん、各工場とも関わる機会が多く、そこが品質保証の面白いところだと土屋は語ります。そんな彼女もまた、LMFにかかわる活動を担っています。

土屋 「ボッシュには、お客さま側で起きたABSの不具合を共有し、改善策を話し合う2WP Q-alert system(キューアラートシステム)という仕組みがあります。各国の工場から設計、生産、品質保証のエキスパートが集まるミーティングなのですが、それを栃木工場の品質保証が主導しており、代表して私が参加しています。

本当に多国籍なミーティングなので、言語はもちろん習慣の違いなど、コミュニケーションには苦労しますが、その国のことを良く知る先輩方にアドバイスを得ながら、各メンバーが求める答えが何なのかを見極めるように心がけています。場合によっては、複数案用意して意図を確認することもありますね」

相手を理解したうえでコミュニケーションを取ろうとする姿勢から、LMFとしての自覚と責任感がうかがえます。

チームの持つポテンシャルをさらに高める、開発部門と生産現場の橋渡し役

ボッシュに入社して5年目の千葉。次期自転車用ABSの顧客技術窓口と設計を担当する
▲ボッシュに入社して5年目の千葉。次期自転車用ABSの顧客技術窓口と設計を担当する

栃木工場がLMFとなった大きな理由の一つに、2輪ABSユニットの開発も日本がリードしている点があります。千葉 和樹は、2017年の入社後すぐ横浜のR&Dセンターに配属され、eバイク、いわゆる電動アシスト自転車向けABSの設計に携わってきました。

千葉 「2020年2月、栃木工場内に、量産の品質サポートやコストダウンなど工場とのやり取りを行う新しい設計部署ができました。ちょうど私が担当するeバイク向けABSが量産に入る段階になったこともあり、技術移管も含めて立ち上げをサポートするため、2021年9月に栃木工場に異動してきました」

eバイク向けABSの本格的な生産はこれからですが、千葉は既に、新たな職場でLMFとしての活動をどう進めていくかを考えています。

千葉 「R&Dセンターでも、企画から設計の内容を固め、実際に形にしていくプロセスを担当していたので、お客さまからの要望の吸い上げや部品を供給してもらうサプライヤーさんとの調整、社内の実験セクションの人たちとの協議など、他部門とのやり取りは多かったです。内容を調整し合意形成していくのは大変でしたが、そこが仕事の面白さでもありました。

2輪の分野では開発も横浜が主体となっていますので、R&Dセンターも、土屋さんたち品質保証が主導する2WP Q-alert systemに対応していましたが、新しい部署ではインドやタイの工場とのやり取りが間違いなく増えてくると思います。工場に来たこの機会にABS製品製造プロセスへの理解もより深め、LMFとしての責任を全うしていきたいです」

千葉がメインで担当するeバイク用ABSは量産の立ち上げということもあり、着任早々、中井たちとの連携が始まっています。またそこでは、生産現場の代表として本国ドイツ側と協議するという重要な役割も担っています。

中井 「eバイク用ABSは、テストの工程もこれから稼働していく形になりますので、テストの基準値などを新たに設定しなければなりません。その際には、ドイツ側との協議が発生します。窓口はわれわれテスターエンジニアですが、日本側の意見の取りまとめは、千葉さんとやり取りしながら進めました」

ドイツ側との協議では意見が一致しないこともありましたが、相談のもと双方が納得する形で決着したと言います。

千葉 「テストの基準値を決める際、どういう機能を担保しなければならないかなどを、こちらから指示していました。中井さんが調整してくれて数値はひとまず決まりましたが、生産を軌道に乗せるため、今後さらに連携していかなければと思っています」

栃木工場のプレゼンスをグローバルで高めるために

栃木工場のプレゼンスをグローバルで高めるために

自身の業務におけるLMFとしての役割を理解しながら、それぞれが率先してコミュニケーションを取り、リーダーシップを発揮している3人。LMFとして栃木工場がグローバルでプレゼンスを高めていくため、全員が高い意識で活動に取り組んでいます。

中井 「現在LMFの一環として2輪製品の工程開発を行っていますが、まだドイツ側のサポートを受けている部分があります。長年にわたるドイツの4輪用ABS/ESPの開発経験を2輪用に生かしている部分も多く、本来こちらがリードすべきところでも、まだこれから着手する領域がいくつか残っています。

ドイツからのサポートを受けるのは悪いことではありませんが、今後はもっと大きなリーダーシップを持って、栃木工場からドイツに意見を発信し、それを他工場にも展開していきたいです。簡単なことではありませんが、工場一丸となって実践していきたいと思っています」

土屋 「インドのチャカン工場も、2022年に稼働するタイのアマタ工場も、栃木工場は立ち上げの段階から大きくかかわってきました。栃木工場はやはり2輪ABSのマザー工場なので、LMFとして各工場を引っ張っていく行動は、常に意識していかなければならないと思っています。

ただ私は、各工場を栃木工場に連なる生産拠点ではなく、2輪製品を一緒に製造していくチームメイトだと考えています。だから、できるだけ多くの方とたくさんコミュニケーションを取って、困ったときはお互いに助け合えるような良い関係を築いていきたいと思っています」

千葉 「これまではeバイク用ABS専門でやってきましたが、今後は栃木工場で生産している2輪用ABS全般をカバーしていかなければなりません。栃木工場には各部門のスペシャリストがいますので、お互いの知見や経験を持ち寄り情報をシェアすることで、新しい意見や提案につながり、大きな価値創造ができるのではないかと思います。

私が栃木工場にいる間に、よりプレゼンスを向上させていけるよう、内外問わずさまざまな部門の方とコミュニケーションをとり、人脈も広げていければと思っています。プレッシャーはもちろんありますが、大きなやりがいのある仕事です。楽しみながら取り組んでいきます」

LMFとしての自覚と責任を、将来のビジョンのなかにも描いている3人。ボッシュの栃木工場では、若手からベテランまで2輪用ABSの生産にかかわる全員がこうした意識を持ちながら、世界の生産拠点をリードしていきます。

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