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日本のボッシュ・グループ

早期からリーダーとしての資質を磨く、若手向け育成プログラム「fastpatH」 part1

#グローバル #社内制度 #リーダーシップ

ボッシュのパワートレインソリューション事業部において、事業部内の人事戦略を推進するヒューマンリソースマネジメント(以下、HRM)。このHRMが設立したfastpatH(ファストパス)は、早期のリーダー育成を目的に、事業部独自で取り組んでいるプログラムです。現在2期目が稼働しているプログラムの目指す場所や実際の成果をレポートします。

  • 鈴木 千明

    鈴木 千明

    • 2013年新卒入社。ガソリンECUの適合エンジニアとして、キャリアをスタートしたのち、2018年にfastpatHに参加。2021年現在はパワートレインソリューション部システムエンジニアリングのグループマネージャーとして従事している。
  • ボック まり子

    ボック まり子

    • 2012年新卒入社。事業管理部を経て2018年より人事戦略を担当するHRMに異動。人材開発の観点から事業部の発展・成長を促す施策の企画や運営に携わっている。

早期のリーダー育成を目指す、パワートレインソリューション事業部独自のプログラム

早期のリーダー育成を目指す、パワートレインソリューション事業部独自のプログラム

HRMは人事にかかわる施策や活動を企画し、進めることで、事業部の発展を人事面から後押しすることをミッションとしている、ボッシュのなかでもユニークな部署のひとつです。

このHRMで2018年からスタートした人材育成プログラムが“fastpatH(ファストパス)”。ボック まり子は、現在このプログラムの運営を担当しています。

ボック 「fastpatHは若手を早期に育成し、早い段階からリーダーとして活躍してもらうことを目的にスタートしました。1年半で3つの部署をローテーションすることで、幅広いスキルとリーダーシップを身に着けてもらうのが狙いです。

ジョブローテーションによる育成プログラムとしては、ボッシュには2年間で4つの部署を経験できる“JMP(若手リーダー採用:Junior Managers Program)”というプログラムがありますが、fastpatHはパワートレインソリューション事業部の社員を対象にしたものです」

また、fastpatHは若手育成の観点から対象年齢を30歳未満に限定。その代わりに、新卒・中途は関係なく参加することができます。

このfastpatHは、若手社員のリーダーシップ強化が最大の目的ですが、この背景にはパワートレインソリューション事業部が抱える課題がありました。

ボック 「外資系とはいえ、日本法人は管理職、特に部長クラス以上の平均年齢が少し高い傾向にあります。年齢構成の是正は一朝一夕にはできませんが、やはり種まきとしての仕掛けが必要だと感じたのが一点。

また入社後すぐに管理職候補としてのキャリアを積むJMPのようなプロセスはありますが、若くてもポテンシャルがある方を、別の形で後押しできないかというところからfastpatHが生まれました」

必要なのは、物怖じせず周囲のプレッシャーにも負けないメンタル

fastpatHの最後に書かれた大文字のHには、このプログラムを次のステップへ上る梯子にしてほしいというHRM担当者たちの思いが込められています。

そうした思いと期待が込められている分、選考に合格することも容易ではありません。参加希望者は書類選考を突破し、パワートレインソリューション事業部のトップマネジメント層からの面接を受けます。ただし人数の設定はなく、合格者が必ず出るわけではありません。

ボック 「1年半という短期間で結果が求められるので、環境に即時適応でき、かつリーダーシップを発揮できるよう、募集条件は“リーダーシップポテンシャルを有するもの”と定めています。また海外の部署に行くこともあるので、英語力についてもビジネルレベルとしています。

卒業生も含め、これまでの合格者は4名と決して多くありません。ただ狭き門ではありますが、応募者は確実に増えています。当初の応募は部署からの推薦のみでしたが、2020年から自己推薦方式を併用したこともあり、昨年は10名以上の応募がありました」

もちろん、選考だけでなくプログラム自体も厳しいものであるとボックは語ります。

ボック 「理由は二点あります。一点目は、fastpatHではプログラムの後半で、ローテーション先を自分で見つけるよう設定していることです。ですから、自分を売り込む営業力が求められます」

そこにはリーダーシップの強化はもちろん、ボッシュというグローバル企業のなかで、日本がプレゼンスを発揮するため、海外の拠点に自分を売り込む力を身に着けてもらう狙いがあります。

ボック 「二点目は、fastpatHは入社後数年経った社員が対象だということです。入社後に構築された深い人間関係のなかからいきなり飛び立つことになるため、晴れてトレーニーに選ばれても、やはり周囲の目は気になります。慣れない環境の中で周りの期待に応えなければならないというプレッシャーは大きいと思います」

fastpatH参加者にはそのプレッシャーにもめげない強いメンタルが求められます。ただボック自身、選ばれた人たちには、そのメンタルが備わっていると言います。

ボック 「合格者に共通しているのは周りの方と物怖じせず話せることと、事業部で自分が実現したい目標がはっきりしていることです。会社への貢献に主眼を置きながら、自分が成長することで周囲をけん引していく。こうした意欲的な人材がfastpatHに選ばれています」

上流から下流までの一連の工程を、日本、ベトナム、ドイツで経験したい

上流から下流までの一連の工程を、日本、ベトナム、ドイツで経験したい
▲第一期生としてfastpatHに参加したパワートレインソリューション部の鈴木 千明

fastpatHの1期生である鈴木 千明も、こうした素養を持った人材でした。

鈴木がボッシュに入社したのは2013年。エンジンの制御を行う装置であるガソリンECUの適合エンジニアとして、キャリアをスタートさせました。

フランスでのプロジェクト参加や、半年間のドイツへの赴任など海外での経験を積んだ鈴木。帰国後は、次世代のECU適合プロジェクトに召集され、プロジェクトマネージャーを担当します。fastpatHへの参加を打診されたのは、ちょうどその業務を引き継いだときでした。

鈴木 「当時の担当者から突然呼び出され『こういうプログラムがあるけれど、参加しませんか』と、声をかけられました。説明を聞いてポジティブな印象を受け、すぐに挑戦したいと思いました」

書類選考や数回のインタビューを経て、見事合格。まずはメンターのアドバイスを受けながら、ローテーション先を決めていきました。

鈴木 「このプログラムで自分が本当に何を得たいか、その後のキャリアはどう考えているかなど、細かく話しながらローテーション先を選定しました。ただ、当時はプロジェクトを引き継いだばかり。またプロジェクト自体が自分の望んでいた業務でもあったため、最初の赴任先はそのプロジェクトとし、キリの良いマイルストーンを達成するまで遂行しました」

プロジェクトマネージャーとして一定の成果を上げた鈴木が次に選んだ先は、ベトナムにあるCVT(自動無段変速機)のベルト工場。そこでは新ラインの増設や材料変更など、これまでとはまったく違うジャンルのプロジェクトに従事します。

そして最後の赴任先として選んだのは、ドイツにあるECUのプロダクトマネジメントの部門。そこでは新たなソフトウエアのマネタイズや市場調査など、戦略的な内容を学びました。

鈴木 「ベトナムの工場を選んだのは、製造業として最終製品がどういう形でつくられ、どうお客さまに届けられるかを見ておきたかったから。ドイツはまったく逆で、“会社の”意思決定プロセスがどのように開発に落とし込まれているのかを学びたかったからです」

戦略立案から工場まで上流から下流の一連の工程を経験するとともに、元々の専門領域である燃焼系だけでなく駆動系の製品を見ているところからも、鈴木の意識の高さがうかがえます。ただ鈴木自身、一筋縄ではいかないことも多々あったと振り返ります。

鈴木 「例えばベトナムでは、日本でのECU適合プロジェクトで得た成功体験を当てはめようとして、まったく上手くいかなかったことがありました。自分の過去の経験に固執していることに途中で気づき、軌道修正できましたが、あのときのことは今でも反省しています。ただこの気づきは、自分の大きな財産になりました」

ベトナムでの反省をもとに、ドイツでは先入観を持たず自分がオープンになることに徹したという鈴木。現地の部長にも腹を割ってすべてを話し、さまざまな相談に乗ってもらったといいます。

鈴木 「ドイツでは業務の中身だけでなく、自分の課題だったプレゼンテーションについても、細かなフィードバックをもらいながら改善していきました。fastpatHは自分が考えていたよりずっと大変でしたが、多くの人に助けられることで、戦略立案手法やそれに必要なデザイン思考に至るまで、本当にたくさんのことを学べたと思います」

チャレンジングな選択がもたらす負荷が、早期の成長を後押しする

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このようにfastpatHは、参加者にとってはかなりハードともいえる活動ですが、その負荷がより成長を早めてくれたと鈴木は語ります。

鈴木 「このプログラムでは、迷ったときによりチャレンジングな方を選択する考え方も学びました。当然不安もありますが、実際に自分が適任ではないと思うポジションに身をおき、不安な気持ちと常に戦うことで、より早く成長できたように思います」

早期の成長を望む人には、もってこいのプログラムだという鈴木。ただ過酷な環境を乗り越えて成長を手にするためには必要なものがあるといいます。

鈴木 「まず変化に対してオープンでいることです。何が起こるかわからない環境のなかで、それに対応できる力が必要です。加えて最終的にやり切る力も重要です。それがあれば、単なるスキルアップだけでなく、自分のメンタルと向き合い、人間として成長できる貴重な時間になると思います」

一方のボックたち運営側も、このプログラムに一定の手応えを感じています。

ボック 「鈴木たちの背中を見て、自分も目指してみようと考える社員が出てきているのはうれしい傾向です。なかには昨年審査を通過できなかった方で、今年再チャレンジしている社員もいます。『彼らのような経験をしてリーダーになりたい』という社員が増えているのは頼もしいですね」

ボック自身、こうした社員の背中をどんどん押してあげたいと考えています。それはfastpatHが、選考を受けること自体にも意義がある活動だと考えているからです。

ボック 「書類選考を通った方は、たとえ最終面接で落ちても、普段めったに顔を合わすことのない事業部トップの方々と知り合えます。また審査を通過しなかった人には、合格できなかった理由を人事からフィードバックしているので、自分を振り返る機会にもなります。人事としては今後もより多くの方のチャレンジを後押ししたいですね」

将来は事業部内にとどまらず、他事業部とのコラボレーションも視野に入れ、プログラムを進化させていく意向もあります。この梯子を登った若きリーダーたちが、パワートレインソリューション事業部の中心的存在になる日もそう遠くないかもしれません。

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