マインドセットと働き方は、「職場」の変革から
#オフィス #カルチャー #コラボレーション #コミュニケーション #多様性 #リノベーション
これから大きく変わろうとしている社会や経済。そうした環境の変化に対応するべく、「働き方」を提唱する必要がある──。ボッシュ・ジャパンも、この先の未来に向け、従業員の働き方のアップデートへ取り組んでいます。
マインドセットは“環境”を変えることからはじめよう
2017年ごろから「IWC (Inspiring Working Condition)」という、「創造性や感性を刺激する働く環境づくり」を目的としたプロジェクトがボッシュ・グローバルで発足し、日本を含めた世界中のボッシュでその取り組みがスタートしました。
このプロジェクトの本質的な狙いとはどのようなものでしょうか?それは、現在私たちが置かれている変化の激しい、先の読めないマーケット(市場)を生き抜いていくために、「働き方」に関するマインドセットを変えていくことです。
昔は労働集約的な働き方や技術集約型的なビジネスをしながら、企業は成長し続けることができました。現在は技術を使って、どのような情報やサービスを提供できるかが、この変化の激しいマーケットを生き残っていく鍵になっています。これは「知識集約型社会」と呼ばれています。
「知識集約型社会」では技術の開発のみならず、市場の人々が本当に必要としているものを理解し、さまざまな技術を組み合わせ、いかに早くサービスとして市場に供給していくことが重要です。その提案をするプロセスで、新しいアイデアやイノベーションが求められています。
そうした「知識集約型社会」へ移行するためには、従業員自身の働くことへのマインドセットを変えていく必要があると、このプロジェクトでは考えています。マインドセットを変えるための重要な要素として、「働く環境」を変えることは最も影響力のある手段です。
従業員がクリエイティブで将来性を感じさせるアイデアを創出でき、社内外の人々とオープンなコミュニケーションやコラボレーションが発生する「場」をつくる──。これがIWCの活動が始まった背景です。
渋谷からひろがる、全国規模の大改修
このIWCの活動は、日本のほぼ全拠点が対象となっています。中でも渋谷オフィスはボッシュ・ジャパンにおけるIWCの象徴であり、既に多くの従業員にとってのコミュニケーションハブとして利用されています。
その渋谷本社ビルの全改修が約1年をかけ、2019年春に完了しました。オフィスの様子を一部ご紹介いたします。
壁をはぎ取り、つながるオフィスへ。──今回の渋谷オフィスのリニューアルによって一番大きく変わった点は「部署や個人の共有する部分が増えた」ことです。
以前のオフィスは各部署が所有する会議室や執務デスクで構成されており、部署間のコラボレーションは発生しにくいものでした。また、出張者向けのスペースは小さな個室で仕切られており、隔離されたような状態でした。ほかの拠点の従業員が来訪しても、現地の従業員とのコミュニケーションが生まれづらいつくりだったのです。
また、改装後はフリーアドレスを導入することで、ほとんどの会議室やデスクが共有化されました。部長席などはなくなり、使用していないときは役員室ですら、会議室として全従業員が使用できます。
この会議室やデスクの共有化によって、会議室数が旧オフィスの2.2倍に増え、予約も取りやすくなりました。3Fに新設された、ワークショップルームや大会議室では同時通訳のブースも常設され、各ロケーションへの同時中継を実現することができました。
さらに、照明はLED化。またパーティションはガラスになり自然光が入りやすく、照明電力消費量はIWC以前より約50%削減するなど、ボッシュが目指す環境への配慮も忘れていません。
このように、改装後の渋谷オフィスではできる限り壁を取り払い、透明性やオープンなコミュニケーションを体現することができました。これによって「ロケーション間の交流がしやすくなった」と、従業員からは好評です。
新しいアイデアや交流を育むコミュニティスペースの誕生
渋谷本社内に「The NEST(NExt Shibuya Transformation)」という名前のオープンエリアが新設されました。「人が集まり、Hatch new ideas(新しいアイディアを孵化)し、また外へ飛び立つ」という、まるで「社員の巣のような存在になるように」という想いを込めたコンセプトです。
従業員限定ではありますが、このフロアでは作業はもちろん、会議やイベント、ランチタイムなどの休憩にも使えます。
また2019年夏には、日本経済新聞社と一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)が主催する、創意と工夫をこらしたオフィスを表彰する「第32回日経ニューオフィス賞」の受賞をしました。
The NESTの象徴的なスペースのひとつは、ボッシュ・グループ会社で製造されたアルミ構造部材で組み立てられた展示棚です。ここにはボッシュ・ジャパン及びグループ会社の製品が並べられています。社員からのリクエストもあり、他部署の製品と触れる機会をつくるべく、昔の製品から今の製品までを展示し、ボッシュブランドを感じられる創造的空間をつくり上げました。壁面にはボッシュの従業員の似顔絵が描かれています。
このフロアを利用した従業員からは、「雰囲気がカジュアルなのでオープンで、フラットなコミュニケーションができる」「ここに来ると他ロケーション同僚との意外な出会いがある」という意見が挙げられました。
効率性を高めながら、誇りをもって働くことのできる職場環境をつくる
渋谷の事例は一例にすぎず、ほかの拠点でもIWCの活動が行われています。ほかの拠点の例もいくつかご紹介しましょう。
埼玉県にある東松山工場では2017年から2018年の間、会議室やトイレ、レストランをリニューアルしました。中でもレストランは、ボッシュの長い歴史を感じさせる佇まいを表現しながら、モダンな印象も受ける内装となっています。従業員がリラックスして歓談できる雰囲気があり、仕事のリフレッシュやお客さまを招待する場所として活用されています。
オフィス内に関しても、建物の東西に分かれていたオフィススペースを東側に集約し、フリーアドレス化しました。在籍人数に対し80%のデスクを設置することで、省スペース化も実現しました。
ほかにも、昇降デスクに加え、立って仕事や打ち合わせのできるハイカウンターやハイテーブルを設けたり、会議室のサイズやレイアウトを変更したり、予約不要の打ち合わせスペースやワークショップスペースの設置を行うなど、さらに打ち合わせのしやすい環境を整備しました。また副産物として、書類の処分や電子化でキャビネットを109個から51個へ削減し、オフィスのスリム化にも成功しました。
神奈川県にあるセンター北のあいたいオフィスにおいては、コラボレーションエリアの新設が行われました。その場所で集まって食事をしたり、打ち合わせや作業したりできる場としても有効活用されています。
たとえば、上司との会話の際も、ソファーに座っていつものオフィスとは違った雰囲気の中で行うことができます。ラグを引いたエリアでは座椅子や低いテーブルを置いて、家のリビングのような環境でリラックスして仕事ができます。また、吸音効果のある素材を使ったパーティションで区切ったフォーカスブースでは、人の視線や声を気にせず、落ち着いて電話会議ができます。
2019年の3月には、広島事務所でオープニングセレモニーが行われました。デスクは昇降式、フリーアドレス制が導入されています。デスクの脇のエリアには、集まって話ができるコラボレーションエリアを開設し、オフィス全体がオープンで明るい雰囲気に包まれています。営業所の従業員からは「このオフィスならお客さまを呼んでも恥ずかしくない」という意見を聞くことができました。
栃木工場でも、コミュニケーションの中心となる会議室不足を解決するために、大幅な会議室の増設を行いました。さらに休憩時間にリラックスしやすいように、トイレの改装にも力を入れました。
このように、多くの拠点の環境を改善するべく、ボッシュ・ジャパンでは数々のリニューアル活動を行ってきました。それでもまだ、活動の手が届いていないエリアもたくさんあります。これからボッシュ・ジャパン最大の開発拠点である横浜事務所でもデスクの入れ替えなどを行い、よりオープンでリラックスして仕事ができる環境を構築しようとしています。
このようにして、今後も引き続き従業員の声に耳を傾けながら、施設を改善し、働きやすい環境を実現していく姿勢を見せていきたいと考えています。
環境の変化は働き方のスタイルを変えていくきっかけとなり、働く従業員のマインドセットがポジティブに向かうことを期待されています。この先も変化の激しくなっていくマーケットで、従業員ひとりひとりが効率性を高めながら、誇りをもって働くことのできる職場環境をつくっていきたいと、ボッシュ・ジャパンは考えています。