学生に成長の“糸口”を届けたい ─ グローバルインターンシップに宿る人事担当の想い
#グローバル #インターン #イノベーション #女性の活躍
海外でのインターンシップと聞くと、英語が得意で海外経験が豊富な学生が参加するイメージを持つ人も少なくないでしょう。しかし、ボッシュ株式会社の「グローバルインターンシップ」はひと味違います。英語が苦手でも、何かに挑戦したいと願う学生を応援したい──このインターンシップは、そうした想いから始まりました。
学生のために何かしたい。根底にあったのは、学生たちへの“愛”だった
2019年で4年目を迎えた、ボッシュのグローバルインターンシップ。毎年夏に全国の理系の大学生や大学院生を対象に行われ、学生たちは、東南アジアの現地法人でそれぞれのミッションに取り組みます。
ボッシュの人事部門で採用・HRマーケティンググループのマネージャーを務める市山千奈美は、立ち上げ当初からこのインターンシップに関わってきました。
市山 「この構想はもともと、当社の社員から上がってきた『学生のために何か貢献がしたい』という声からスタートしました。人事としても、新卒採用をするうえで、理系の学生にボッシュについて知ってもらうには何かをするべきだと考えていたタイミングでした。
ちょうどそのころ、英語を勉強したくても海外へ行けない学生が多いと耳にしました。ドイツに本社があり世界各国に拠点のある弊社なら、何か力になれるのではないかと思いました。
そこで学生の挑戦を後押ししようと、グローバルインターンシップの立ち上げが決まりました。後日、プレゼン資料を作成していた際に、このインターンシップを強力に後押ししてくれていた役員が『成長したい学生への愛を込めていこう』とアドバイスをしてくれたことが今も心に残っています」
こうしてスタートした、ボッシュのグローバルインターンシップ。まずは、日本法人ともつながりの深いベトナムの拠点で実施することになりました。
英語力より変わる力。「このままではいけない」という気づきが学生を変えた
実はこのグローバルインターンシップには大きな特徴があります。それは、海外での実施にも関わらず、“英語力は問わない”ということ──。
市山 「ボッシュの採用では、外国人留学生が面接を受けにくることももちろんあります。彼ら彼女らは“学びたい”という意欲を持って日本に来ているだけあって、主体性があり、発言力やコミュニケーション能力が高く、とてもハングリーで積極的です。そうした姿を目にすると、日本人学生はどうしても圧倒されてしまいます。
でも、私は海外経験のない日本人の学生にも可能性があると信じていますし、その可能性を開きたいとずっと思っていました。『何かに挑戦してみたいけど、勇気が持てない』そう思っている日本人学生に、成長のきっかけをつくる意味でも、あえて“英語力”という制限を設けないことにしました」
実際に、インターンシップに参加したことで意識が変わり、行動を起こす学生も少なくありません。
市山 「このインターンシップに参加したことがきっかけとなり、のちに語学留学をしたり、海外での長期インターンシップに挑戦したりと、あらためて英語の力をつけるために海外へ向かう学生もいます。
他の学生や現地社員とのコミュニケーションを通じて自分の未熟さを痛感し、英語を勉強したい、視野を広げたいと実際に行動している学生の姿をみると本当に嬉しく思います」
学生たちが自発的な気づきを得られるように、プログラムも工夫しています。学生たちは3人1組でミッションに取り組むのですが、ゴールまでの進め方は各チームに一任。
ミッションは、「自動パーキングブレーキ機能についての調査とテスト」など、実務に即したものになります。学生たちは、それぞれのミッションを達成するために試行錯誤を繰り返します。
これまで就業経験もなく、チームでの作業に慣れない学生たち。あいまいなコミュニケーションで業務に支障をきたし、ミッションが立ち行かない場面にも遭遇します。
しかし──。
市山 「ミッション開始後しばらくすると学生たちは、コミュニケーションを密にとって、その都度理解しながら作業を進めることが不可欠だと気づきます。
そのころからでしょうか、毎日研修が終わった後、自主的に集まって話し合いをするようになっていくんです。最初のころは集団のなかでまったく話せなかった学生でも、人が変わったように積極的になっていますね」
意義のある研修か否か。判断の基準は学生からのフィードバック
インターンシップを通して、学生たちの変化を目にしてきた市山。しかし、研修が意義あるものであったかそうでないかは、学生からのフィードバックに現れると考えています。そうした意味で、市山には忘れられない出来事がありました。
市山 「過去に、『前年に参加した先輩からの勧めで応募した』という学生がいました。話を聞いてみると、その先輩というのは、グローバルインターンシップの参加後に当社の新卒採用に応募したものの、不採用になっていた学生ということがわかりました。
実はこのような学生は少なくありません。本選考で残念な結果になってしまったとしても、その後、後輩に勧めてくれたり、グローバルインターンシップの説明会の手伝いを買って出てくれたり。そうした姿を見ると本当に嬉しくて、“学生たちへの想い”を忘れてはいけないとあらためて思いますね」
そして2018年、グローバルインターンシップは、「第1回 学生が選ぶインターンシップアワード」で優秀賞を受賞しました。このアワードの特徴は、選考基準が学生からのフィードバックのみであること。アワードの事務局が実際にインターンシップに参加した学生に直接連絡を取り、ヒアリングを行います。
グローバルインターンシップに寄せられたのは、「きめ細やかなフォローが魅力的だった」という声。そのひとつの例が、学生たちが毎日書いていたレポートに対するボッシュ社員からのフィードバックです。
ときに壁にぶつかることもある2週間。こうした社員からのきめ細かなフォローアップが、学生たちの原動力となっていたのです。
地道な継続こそが、“意識や行動を変えるきっかけ”を生む
グローバルインターンシップは、当初3年続けることが目標でした。しかし、回数を重ねるうちに参加した学生たちだけでなく、3年間受け入れを続けてきたベトナムの現地社員たちからも、日本からのインターン生を待ちわびる気配を感じるようになりました。
市山 「ベトナムの現地社員は、自分たちのサークルに学生たちを誘うなど、積極的に交流をはかってくれていますね。学生にとってもベトナムでの現地社員との交流は刺激になったようです。
学生と1~2歳しか年齢の違わないベトナムの社員が、母国語でもない英語を使いこなしてグローバルで活躍しています。若いエネルギーに満ちている会社であることを感じてもらえることも、海外拠点でインターンシップを実施するメリットですね」
3年目の2018年は受け入れ先をタイにも拡大。2019年は、これからの成長が期待されるAIやIoTの分野に強いインドでの受け入れを計画しています。
親日で学生とも近い年齢の社員が多いベトナムに対し、未知の魅力を秘めたインド。市山は「より成長したい、好奇心が旺盛な学生に参加してもらいたい」と話します。
アワードの受賞など、学生たちから高い評価も受け、成果を残しつつあるグローバルインターンシップ。そうしたなかでも、「学生のみなさんの成長機会となることを第一に考えることを忘れず、地道に継続していきたい」と市山は考えています。
市山「このインターンシップを通して、学生たちの“人生の変化”に関わることができています。彼ら彼女らからのフィードバックでそのことを実感すると、やめられないなと思いますね。今は1年でも長く続けて、受け入れ先も少しずつ開拓していきたい。そうすることで、ひとりでも多くの学生さんに、変わるきっかけをつかんでもらえるのでは?と思っています」
学生たちの変化を見届け、背中を押せる存在でありたいーー。立ち上げ当初から揺らぐことのない想いを起点に、2019年、グローバルインターンシップの幕が開こうとしています。
【ボッシュグローバルインターンシップ2019のご案内】
- 対象:本国内の大学・大学院に所属している理系専攻の学生
- 応募締切:2019年6月11日(火)
- 特設サイト:https://saiyo.boschjapan-brandtopics.jp/information/news/2019-04-22-post/
※2018年の様子は、こちらをご覧ください。